★★★ ロマンス・ミーツ・SF 『シェイプ・オブ・ウォーター』
どーも、冨田です。
今回ご紹介したい作品は、『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年・アメリカ)
です。
〜作品情報〜
制作:2017年 アメリカ
監督:ギレルモ・デル・トロ
主演:サリー・ホーキンス
受賞:アカデミー賞 作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞(4部問)
●ロマンスとSFの融合作!半魚人とのおとぎ話のような恋をロマンチックに描いた作品
さて本作ですが、第90回のアカデミー賞で作品賞に輝いております。
私が見ようと思ったのもそれが理由なのですが、あらすじを簡単に説明しますと、
時代は冷戦下、研究施設の清掃員として雇われている主人公イライザは、声を出せない障害をもっていました。
ある時施設に正体不明の生き物が連れてこられ、イライザは徐々にその生き物と交流を重ねていきます。
自分が障害を持って不自由に生活していることと、その生き物もまた拘束され不自由にしていることからどこか共感を覚え、次第に生き物へ興味をもっていくイライザ。
やがて二人は種の境界を越えて惹かれあってく‥
と言ったようなお話です。
●雨の日におすすめ。ただ、物語は予想の範疇を越えず。
お話は上に書いたものがほとんどで、大筋も変わりありません。物語の結末もあらすじからだいたい予想できるような展開です。
ただこの作品の魅力は、画面全体から広がるロマンチックでお洒落な雰囲気にあります。
部屋のデザインや主人公の服装、音楽。
作品全体を通してのロマンチックな雰囲気が、物語の恋模様をより鮮やかに盛り立ててくれます。
また、作品中に水を使った表現が多く出てきており、その辺りも見所です。
まさに、しとしとと降る雨の日、外に出たくない日に見て欲しい作品です。
●ファンタジーとリアリズムの融合に取り組んだ意欲作
主人公と半魚人との恋をなんともいえないロマンチックな雰囲気で描きながら、
その一方で半魚人を軍事的に利用しようとするアメリカと、それを阻止しようともくろむ ロシアとの衝突をリアルに描いています。
研究施設のデザインも、いかにも!といった感じで、スパイの描写や、のしあがろうとするアメリカのエリート、倫理感に葛藤する研究者など、60年代の古い映画に出てきそうな描写がてんこ盛りです。
あまりに自然にファンタジーとリアルの場面が切り替わるので、自分が今なんの映画を観ているのかを忘れそうになります。
ファンタジーとリアルの融合を楽しむのが、本作の大きな魅力と言っていいでしょう。
■総括:雰囲気を十分に楽しめるかが作品の評価を分ける
本作の画面はデザインが徹底されており、どの画面を観ていても楽しめます。
ただ、物語としては凡庸で、どこかで観たなと思う方が多いでしょう。
ですので、どこを楽しむかでこの作品の評価は別れそうです。
私としては、心を大きく揺さぶってくるような衝撃の作品を求めているので、
そういう点では物足りなかったかなと思います。
それでも十分に楽しめる作品でしたので、お時間のある方はぜひ観てみてください。
それではまた。