何を観たらいいか分からないあなたへ

今やnetflixやhuluで動画を見るのが当たり前になりました。しかし、あまりに作品が多すぎてどれを見たらいいのか分からなくなります。そこで、本当に面白い作品だけを紹介しているブログがあればなぁと思い、このブログを立ち上げました。皆さんが良い作品に出会えるきっかけになれたらと思います。

★★★ ロマンス・ミーツ・SF 『シェイプ・オブ・ウォーター』

どーも、冨田です。

 

今回ご紹介したい作品は、シェイプ・オブ・ウォーター(2017年・アメリカ)

です。

 

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〜作品情報〜

制作:2017年 アメリ

監督:ギレルモ・デル・トロ

主演:サリー・ホーキンス

受賞:アカデミー賞  作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞(4部問)

 

 ●ロマンスとSFの融合作!半魚人とのおとぎ話のような恋をロマンチックに描いた作品

 

さて本作ですが、第90回のアカデミー賞で作品賞に輝いております

 

私が見ようと思ったのもそれが理由なのですが、あらすじを簡単に説明しますと、

 

時代は冷戦下、研究施設の清掃員として雇われている主人公イライザは、声を出せない障害をもっていました。

 

ある時施設に正体不明の生き物が連れてこられ、イライザは徐々にその生き物と交流を重ねていきます。

 

自分が障害を持って不自由に生活していることと、その生き物もまた拘束され不自由にしていることからどこか共感を覚え、次第に生き物へ興味をもっていくイライザ。

 

やがて二人は種の境界を越えて惹かれあってく‥

 

と言ったようなお話です。

 

●雨の日におすすめ。ただ、物語は予想の範疇を越えず。

お話は上に書いたものがほとんどで、大筋も変わりありません。物語の結末もあらすじからだいたい予想できるような展開です。

 

ただこの作品の魅力は、画面全体から広がるロマンチックでお洒落な雰囲気にあります。

 

部屋のデザインや主人公の服装、音楽。

 

作品全体を通してのロマンチックな雰囲気が、物語の恋模様をより鮮やかに盛り立ててくれます。

 

また、作品中に水を使った表現が多く出てきており、その辺りも見所です。

 

まさに、しとしとと降る雨の日、外に出たくない日に見て欲しい作品です。

 

●ファンタジーとリアリズムの融合に取り組んだ意欲作

主人公と半魚人との恋をなんともいえないロマンチックな雰囲気で描きながら、

 

その一方で半魚人を軍事的に利用しようとするアメリカと、それを阻止しようともくろむ ロシアとの衝突をリアルに描いています。

 

研究施設のデザインも、いかにも!といった感じで、スパイの描写や、のしあがろうとするアメリカのエリート、倫理感に葛藤する研究者など、60年代の古い映画に出てきそうな描写がてんこ盛りです。

 

あまりに自然にファンタジーとリアルの場面が切り替わるので、自分が今なんの映画を観ているのかを忘れそうになります。

 

ファンタジーとリアルの融合を楽しむのが、本作の大きな魅力と言っていいでしょう。

 

■総括:雰囲気を十分に楽しめるかが作品の評価を分ける

本作の画面はデザインが徹底されており、どの画面を観ていても楽しめます。

 

ただ、物語としては凡庸で、どこかで観たなと思う方が多いでしょう。

 

ですので、どこを楽しむかでこの作品の評価は別れそうです。

 

私としては、心を大きく揺さぶってくるような衝撃の作品を求めているので、

 

そういう点では物足りなかったかなと思います。

 

それでも十分に楽しめる作品でしたので、お時間のある方はぜひ観てみてください。

 

それではまた。

 

 

 

 

 

 

 

★★★★★【2019年No.1】ジョーカー (JOKER) [誰しもが悪になり得る]

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JOKER

どーも、富田です。

 

本日はジョーカーについてレビューさせてください。

 

まず初めに言っておきますが、

 

気になっているけれどまだ見ていないというそこのあなた。

 

今すぐ見てください!

 

それぐらいおススメできるのが本作品です

 

あくまで個人の感想ですが、

 

ジョーカー(JOKER)は2019年の映画の中でNO.1でした。

 

それぐらい良かったのでぜひ見ていただきたいと思います

 

すでにレンタルが始まっているようなので、借りてみてください

(私はブルーレイを買いました!)

 

 

【作品紹介】

『ジョーカー(JOKER)』

公開:2019年

出演:ホアキン・フェニックスロバート・デ・ニーロ

監督:トッド・フィリップス

受賞:ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞

   アカデミー賞 複数ノミネート(2019.1.30 現在)

 

【本作品レビュー】

 

「ただの善人な青年が悪に染まる過程がただただ美しく、人の心を魅了する。

その異様なまでの美しさを感じてほしい」

 

 

※本レビューはネタバレありまくりですので、情報を入れたくない人はこれ以上

見ないで下さい。よろしくお願いします

 

 

 

 

 

 

 

~以下、ネタバレあり!~

 

 

 

 

 

 

 

❶前半と後半のコントラストに思わずうなる

主人公のアーサーは母と二人貧しく暮らす、どこにでもいる青年でした。

そんな彼が楽しみにしていたのがマレーのTVショーでした。

 

作品の前半で、彼は自分がショーの客席に座っている姿を夢想します。

そこではマレーに称賛され、ハグされる自分の姿がありました。

彼はそんな姿を夢見ていました。少なくとも前半は。

 

しかし物語の最終盤で、実際にマレーのショーに出た自分の姿は

客席ではなく、なんとゲストの席にありました。

しかも、ハグされるどころか自身が激昂し、なんとマレーを射殺してしまうのです。

 

ショーに出て拍手を浴び、ハグすることを夢見ていた男がまさか

生放送のショーで人を殺すことになるとは。

 

この過程を描くのが本作の見どころであり、本質でもあります。

私が尊敬している、オタキングこと岡田斗司夫氏はジョーカーについて

「本作は、ある男が悪に落ちる過程を描いた、ある種のドキュメンタリーだ」

といったことを言っていましたが、まさにドキュメンタリーであり、

だからこそリアル感を持って、私達の感情にじわじわと浸食してくるのだと思います。

 

 

❷自身を開放する様に魅了される

自分のミスで仕事をクビになるアーサー。

帰りの電車で若者3人に絡まれ、いきおい持っていた銃で3人を射殺します。

この一発目を撃った瞬間から、これまでのアーサーは消し飛びました。

 

障害を持ち、善人であろうとしていた男が突然鋭い眼をし、狡猾に獲物を追い、

そして仕留めたのです。

 

思わず駆け込んだ公衆トイレで、彼はなんと踊りだします。

独特のステップで、しかし思わず目を見張る異様さと美しさを示しながら。

 

彼は偽りのピエロから、本当に自分の生きる道、自分のあるべき姿を確信したのです。

遂に自分自身を開放したのです。

 

私はその姿に、思わず美しいと感じてしまいました。

ただの人殺しであるにも関わらず、です。

 

理性で称賛してはならないと考えつつも、心では称賛している状態。

この矛盾による葛藤も、本作の魅力の一部であるかもしれません。

 

 

❸誰しもがアーサーになるかもしれない、というリアル感

冒頭では、みんなを笑顔にするためにコメディアンになると意気込んでいた

善良な青年。母の世話をしながら暮らしている優しい青年。

そんな青年が徐々に悪に落ちていく。

 

もしかしたら、自分もあることをきっかけに、アーサーみたいになるかもしれない。

このリアルな感覚が、映画を通して緊張感を保ち、観客を引き込みます。

 

格差が広がり、どこか生きづらさを感じ始めている社会。

作中の舞台であるゴッサムシティがどこか現代社会とリンクする感覚も、この映画をさらにリアルに感じられる要因かもしれません。

 

実際、ジョーカーの上映期間中に香港での大規模なデモが起きており、

私はその様と作中の暴動がシンクロして仕方がなかったです。

 

社会的な側面からも、ぜひ見てほしいと思う一本です。

 

 

<まとめ>

正直すぐにでも見てほしい。

でもバットマンのオールドファンは混乱するかも。

 

本作で描かれるジョーカーは、これまでのバットマンシリーズに出てくるジョーカー

とは別物の、別世界の人物と考えたらよいかと思います。

 

私はバットマンシリーズに詳しくないので違和感なくみれましたが、

シリーズのファンはこんなのジョーカーじゃない!と思う人もいるみたいです。

 

なので、シリーズのファンは別物として見てほしいです。

シリーズを知らない人は、本作から見ても十分楽しめるので、是非見て欲しいですね。

 

 

私はまた何回か本作を見ると思いますので、気づいたことがあれば

追記していきたいと思います。

 

ジョーカーを超える作品はなかなか出てこないと思いますが、

また良い作品に出合えたらこちらでシェアしたいと思っておりますので、

よろしくお願いいたします

 

ではまた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★★衝撃の傑作、あらわる!「パラサイト〜半地下の家族〜」

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どーも、富田です。

 

本日は最近見た作品、

「パラサイト〜半地下の家族〜」

のレビューをします。

 

 

結論から言いますと、

超オススメです。

オススメ度 星5 ★★★★★

衝撃的な作品、是非見てほしい!

 

「パラサイト〜半地下の家族〜」

公開 2019年 韓国

 

 

 

※ほんのり序盤のネタバレがありますので、

一切情報を入れたくない人は読まないようお願いします

 

 

1️⃣想像を遥かに超えた物語

 

本作品は、韓国の格差社会をコミカルに批判的に描いている、という前振りだったので、

内容はある程度予想できるだろうと思っていました。

 

序盤〜中盤は確かに予想していたような内容で、それはそれで十分に楽しめるのですが、

中盤あたりから物語は思わぬ方向に向かっていきます。

 

家族や生きることそのものへのアプローチもあり、いい意味で期待を裏切られました。

見た後は頭を強く打たれたような衝撃が走り、

コレはやられた!という感じでエンドロールを

眺めていました。

 

 

2️⃣家族の正しい在り方とはなんなのか?

 

本作品では、お金持ちの家と、半地下の貧乏家族がかなり対照的に描かれています。

その中で、結局家族ってどうあるのがいいのかなぁと思わず考えさせられました。

 

①家族との物理的な距離

お金持ちの家は広く、家族同士が独立した空間で過ごしています。

一方で貧乏な家族は、家も狭いので家族が常に同じ空間で密に過ごしています。

コレは家の広さからして当たり前っちゃ当たり前なのですが、

そのあたりが対比的に描かれており、

家族間の距離について考えさせられました。

 

 

②家族との心理的な距離

半地下の家族がお金持ちの家に寄生していく過程で、半地下家族は強いチームワークを発揮します。その結束力は見事なもので、お金持ち家族の独立した関係性と対照的に描かれていました。

①の物理的な距離とも相関があるかと思いますが、家族とどういう距離感で接すればよいか悩んでいる人は多いかと思います。

 

本作を見ることで、家族との関係性について考え直すキッカケになるかもしれません。

 

 

3️⃣これからの格差社会をどう生きるのか

 

本作でテーマとして描かれた格差社会について、作品をきっかけに自分はどう生きていくのか考えてみました。

はっきりいうと、もう全員が同じ場所を目指す時代は終わったんだと思います。

これからは、各自が自分の好きなところに行き、好きなように暮らす時代が来るんだと思います。

 

ろくに働かずに半地下の暮らしをするも良し、

がっぽり稼いで豪邸に住むも良し。

 

今は金持ち=凄い、憧れ

ですが、ベーシックインカムなどが導入されれば、そのような流れも変わってくるでしょう。

 

それぞれが、それぞれのために生きる時代。

不安でもあるし、楽しみでもあります。

 

◇とにかく、気になってる人は見てくれ!

やや脱線しましたが、本作はエンタメとしても楽しめ、家族や生き方なんかについても考えさせられる、衝撃のブラックコメディになっておりますので、少しでも興味のある方は是非ご自身の目で確かめていただきたいと思います。

 

また衝撃の作品が有れば、こちらで紹介したいと思います。

 

ではまた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★スターウォーズ9〜SWは寅さんになった〜

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どーも、富田です。

 

スターウォーズ エピソード9 

スカイウォーカーの夜明け

 

を観てきましたので、レビューしたいとおもいます。

 

結論から言いますと、

おすすめ度は星3つ★★★☆☆です。

 

感想をまとめますと、

スターウォーズは良くも悪くも

ディズニー作品となった。

これからも同程度のクオリティで、

寅さんや釣りバカ日誌のように

安定して量産されていくことだろう」

というのが正直な感想です。

 

 

今回はネタバレなしで書いていこうと思います。

では、細かく見ていきましょう。

 

1️⃣ディズニーらしい展開と結末

 

シリーズの7〜9作目はディズニー配給と

なりましたが、今作はまさにディズニーらしいなぁという展開が目白押しでした。

 

展開や盛り上げ方、

キャラクターの演出、

それらがいい意味で巧みではあり、

悪い意味でま、どこかで見たよなぁという

クオリティなのです。

 

言ってしまえば平凡、ご都合主義、

でも良い面では安心、間違いのない、

家族で楽しめる作品。

流石といったところです。

 

2️⃣過去の遺産を余すことなく使用

 

かつてのスカイウォーカー家の面々であったり、シス側の人物であったり、今作は過去の人物、設定、乗り物、建造物を余すことなく登場させております。

 

これはオールドファンにとってはたまらないと感じるシーンもあるでしょう。

実際、私の隣にいた年輩の男性は何度か目元をおさえているように見えました。

 

もうとにかく、これでもかっ!てくらい

出てきます。

旧年のファンは間違いなく楽しめるでしょう。

 

 

ただここで私は、新規ファンの獲得はどうするのだろうと疑問に感じました。

 

これに関しては推論ですが、最近

ディズニープラスというディズニーの動画配信サービスが始まっています。

 

ここで過去のスターウォーズ作品を

配信しているわけですが、

私は本作がディズニープラスへの

誘導となっているのではないかと見ています。

 

過去作品のモノをやたら出してくるのも、

あ、アレ最新作で出てたなとか、

あぁアレはこういうことだったのかなどという風に楽しめるので、過去作も楽しめる、

というわけです。

 

 

3️⃣今後も同じレベルのクオリティで量産されていくだろう

 

既に2022年よりシリーズの新作が決定しているようですが、これも恐らく同程度の面白さの

作品となることでしょう。

 

サブスクリプションサービスに誘導するには、

常に新作を作って話題を作らねばなりません。

 

今後の作品は、恐らくその為の作品に

なっていくことでしょう。

 

つまり、そこまでの傑作を狙うことはせず、

根強いファンと新規層獲得のために、

安定した作品を作り続けていくのでしょう。

 

まさに日本で言う寅さんや、釣りバカ日誌のような映画になっていくんだとおもいます。

 

 

まとめ

 

ここまでやや批判的に書きましたが、

シリーズのファンとして普通に楽しめました。

これまでの作品に思い入れのある方なら、

観に行って良いとおもいます。

まず損することはないでしょう。

 

ただ私は、スターウォーズを観に行くのは

今作が最後かなと思っています。

それは上記の3つ目の理由からで、

もうこれ以上のモノは作られないだろうなと思うからです。

 

私は衝撃的な作品に出会いたいのです。

もし今後衝撃作に出会えたら、

こちらで紹介したいと思います。

 

それではまた。

 

 

 

 

★★★★us(アス)~「社会派ホラー」という新たなジャンルの構築~

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どーも、富田です。

 

本日は最近観た映画のレビューになります。

 

その映画とは、「Us(アス)」というホラー映画です。

 

監督はジョーダン・ピールという方です。

この監督は2017年に「ゲット・アウト」という映画を作り、これがかなり良かったので、本作もかなり良いのではないかと思い、観に行きました。

 

 

結論から言うと、かなりの良作です!

おすすめ度は、星4つ★★★★☆ですね!

 

 

アメリカらしいアクションやエンタメ要素、ホラーらしい展開や描写も入れつつアメリカ社会へのメッセージも込めた、言うなれば

「社会派ホラー」

と言う新しいジャンルと言えるでしょう。

見応えのある一本です。

 

【あらすじ】

海沿いの別荘にバカンスに行った4人家族。ある夜、その別荘にやってきたのは自分たちそっくりの4人組だった。赤い作業着に身を包んだ彼らは家族の命を狙い襲ってくる。彼らの正体は一体何者なのか‥その答えは、子供時代の古い記憶の中にあった‥

 

 

 

 

 

【※以下、ネタバレあり!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョーダン・ピールは「社会派ホラー」と言う新たなジャンルを見出した

 

 

 

●単なる猟奇殺人鬼ではない、奇妙な人間達に感じる怖さ

 

登場人物の独特なおかしさ、奇怪さが見るものの恐怖を煽る。

本作の敵?は、いずれのホラー同様命を狙っては来る。しかしながら、それより怖いのは彼らが一体何者なのか分からないということ、さらに普通の人間とは異なる奇妙さを備えていることだ。

例えば女の低すぎる声、ずっと笑っている娘、犬のような動きをする息子、後は喋れない大男か。

普通ではない様子が観客に恐ろしさを植え付ける。

 

 

・単なるホラーにあらず、アメリカ社会への痛烈なメッセージを込めた作品

本作で込められたメッセージは、格差が広がるアメリカ社会への批判である。地上の者と地下の者という対比構造で、現在の経済格差を表している。本作の優れた点は、そのようなメッセージを直接伝えず、ホラーというエンタメの中に落とし込んでいるところだ。

この手法は前作の「ゲット・アウト」にも見られた。人種差別の問題をホラーの中に落とし込んだのだ。

このような構造が、作品をより見応えのあるものに押し上げている。

 

 

以上の点から、私は本作を「社会派ホラー」

という新しいジャンルに定義づけた。

ジョーダン・ピール監督が次に何を作るのか、今から楽しみである。